誰と始めるか? 起業で最も大切な最初の決断「初期メンバー」

バスに乗るか、降りるか?

起業家に人気の書籍『ZERO to ONE』において、著者のピーターティールは以下のように述べている。

創業時がぐちゃぐちゃなスタートアップは後で直せない。...

一般論として、

スタートアップにかかわる全ての人間はフルタイムでなければならない。...

ストックオプションを持たない人や、固定給をもらう人とは、利害が一致しない。...

遠隔地勤務を避けるべきだ。...

フルタイムか、雇わないかの二者択一でなければならない。...

バスに乗るか、乗らないかのどちらかしかない。

(主に155ページから抜粋、引用)

 

 

デイビットスリングの振りかえり & 新しい発見

 今振り返ってみると、これには大筋で同意できる。自分はこの文章でやっていけないことを全部やっていた(笑) 遠隔地勤務推奨、フルタイムではなく固定給のお手伝いさんメインの組織。確かに、スキル以前にピーターティールご指摘の事項はすごく重要なこと。今はうなづける。

 ただ、遠隔地でパートタイムであっても、フルタイムの人以上に、PDCAをうまくまわしながら、ものすごくコミットして、やってくれた人も実際にいた。自分自身の目標をしっかりもっていた人で、その目標を達成するためのスキルが、お願いした業務を通して身につけられると確信している人だった。

 そういった目的・利害の一致があれば、パートタイムの人でも十二分の戦略になり得るのだということが発見できた。これは、今後大いにいきるだろう。すべての人をフルタイムで雇えるのは、よほど恵まれた環境にいる人じゃないと無理だし。

デイビッドスリングの成功:フルタイムではなくても、どこかで目的・目標の一致があれば、一緒にやっていける仲間がいる!すんごく助かる!

 

 

デイビットスリング流「誰と始めるか?」「初期メンバーは誰か?」

上記のピーターティールの指摘項目以外に、デイビットスリングとして今後、初期メンバーに求めたい特性をあげると、

  1. 自己管理 
  2. 学習サイクル(能動的な学習態度と適度な学習スピード)
  3. やる気と思い入れ
  4. 専門スキル

となる。(もちろん、全部整っている人は、そうそういないので、各項目ある程度のレヴェルであればよい)

 

1.自己管理について

自己管理とは、

身体的:健康を維持できるか

精神的:モチベーションを維持できるか

仕事的:自分ができることとできないことを理解しているか

 

 そもそも、なぜこの項目が重要かというと、スタートアップで一番求められのは「忍耐力」と考えているから。

 少なくとも1-2年の間、社会からいってみれば疎外された状態で、一室にこもってごりごりやるわけなので、モチベーションを保つのも大変。そして、ともすれば長時間働いてしまうことになるから、会社勤務している人以上に自己管理能力が求められる。

また、人数が少なく、どうしてもいろんなことをこなさないといけないので、自分が今できることとできないことをわかっていないと、やる気が先行してできない仕事がたまっていき、どんどん自分を追い込んでしまうことになる。健全な身体と精神を保つためには、「自分ができること」と「できないこと」を最低限理解して、事前に発信・調整する能力は絶対必要になる。やると言ったことを納期を大幅にすぎても無言でスルーして、指摘されると言い訳をしてしまうようなタイプは、なるべく避けたいところ。

 もちろん完璧にできる人はいないので、最低限でいいのだが、この自己マネジメントが全くできない人は、スタートアップの初期の中核メンバーとしては、かなり難しく、この項目が最もベースとなると思う。とにかく中長期的な「忍耐」が求められる!

 

2.学習サイクル(能動的な学習態度と適度な学習スピード)

 スタートアップの場合、毎日が新しいチャレンジになる。だからこそ、能動的に効率的に、そして楽しく、自分から学ぶ態度が求められる。もちろんある程度でいいのだが、自分から最低限動く能動的な人でなければ、初期メンバーとしては厳しい。

 

 与えられた仕事をただこなすだけで全く何もいわない人、与えられた範囲内でも全く提案しない・情報を発信しない受託マインドの人。こういった人と、一緒にやってしまうと、その人に対する ”管理” が必要になってしまって、チーム全体のスピード・モチベーションが一気にさがってしまう。お互い不幸な結果を招いてしまう。「次に何をすればいいか?」という人ではなくて、「次はこれをすべてきではないか?」と間違ってでもいいから言ってくれる人を探そう!

 

 学習スピードが極端に遅い人、そもそも学習する気があまりない人は中核メンバーとしては難しいだろう。

 

3.やる気と思い入れ

とにかく最低限の思いがないと一緒のスタート地点には立てない。思いの向きは、共感できるものであれば、ひとそれぞれで何でもいいと思う。お金のみがやる気だとさすがに一緒にやっていくのは難しいが、それ以外何かしら共感できるある程度の意気込みが必要。

・事業そのものに対する思い入れ

・業界に対する思い入れ

・事業、業界問わず、必ず成功させてやるという思い

・このチャレンジの中で必ず自分を成長させたいという思い など

 

4.専門スキル

これもいうまでもないことだが、最初からある程度自分ができる・活躍できる専門スキルが必要。どんな小さい分野でもいいからNo1と自負できるものがあると素晴らしいことだ

 

 

全部そろっているスーパーな人はいない。どこを譲歩するか?

  1. 自己管理 
  2. 学習サイクル(能動的な学習態度と適度な学習スピード)
  3. やる気と思い入れ
  4. 専門スキル

とあげたが、全部高いレヴェルの人は、めったにいない!だからどこかを譲歩しない限り、一生よい出会いができないまま終わってしまう。じゃあどこを譲歩したらいいのか?

 

必須なのは、「自己管理」と「学習サイクル」!

なぜなら、

上述のように、スタートアップは忍耐力勝負なので、

「自己管理」は絶対必須。これができないと短距離しか走れない。

 

 また、「強い思い入れ」がある人よりも、足元の前向きな学習を継続的につみあげていける人のほうが、中長期的にみてモチベーションを保てる傾向にあるので、「思い入れ」よりも、「能動的な学習態度と適度な学習スピード」が必須と考えている。

 自分の少ない経験の中ではあるが、「やる気がめっちゃ強いけど、学習サイクルをうまくませない人」をたくさんみてきた。そういった人は、強いやる気のゆえに、足元の学習サイクルをまわせずに・うまくいかないと、今やっていることをすぐに変える傾向にある。そして結局、場当たり的な学習しかできず、中長期的にのびない傾向にあるようだ。

 これに当てはまる人は、残念ながらたくさんいる。特に新卒で根拠のないやる気と自信に取りつかれている人には、本当に注意が必要。お互い不幸なことになってしまうので。

 「やる気と思い入れ」はたいがいの場合、短距離の瞬発力勝負には有効だが、中長距離の強い持久力が求められるスタートアップでは、それだけでは難しい。

 

ある程度譲歩できる点は「やる気と思い入れ」と「専門スキル」?

「やる気と思い入れ」「専門スキル」ももちろん最低限必要だが、ここはある程度譲歩してもいいのではないかと今の段階では考えている。

 

「やる気と思い入れ」について

 スタートの段階では最低限の思いがありさえすれば、その後の学習サイクルや事業の成功体験、影響力は限られるが起業家の思いなどで、徐々に時間をかけても醸成されていくのではないかと思う。

 ヒーローになるべく存在は大概の場合、うっすらと漠然とした思いからスタートして、徐々に自分の使命を理解して、強い思いを身にまとっている。

 

「専門スキル」について

 これも意外に思われるかもしれないが、とにかくハイスペックな人を見つけるのはなかなか難しい。特に開発者の場合は、いい案件は世の中にごろごろとでまわっているので、スタートアップが最もすぐれた開発者とめぐりあえる確率は、生涯のパートナー(結婚相手)を見つけることよりも難しい。

 だからこそ、運よくめぐりあえた素晴らしい人のレヴェルにあわせて、ビジネスモデルやビジネスの核となる部分を絞りこんで、事業をすすめていくべきだと考えている。

 最初からハイスペックな人材が必要な大規模開発などは回避して、PMF(プロダクトとマーケットのニーズがあう地点)を確かめる最低限の開発に絞りこんで、「この事業は規模を拡大すればいける可能性が極めて高い!」という確証をもった時点で、必要な人材を再定義すればいいかと思う。

 このやり方は、一見まわり道のように見えるし、いいものを創れないではなないあ?という疑問さえでてきそうだ。でも、新規事業のほとんどが失敗するという前提に立った、きわめて現実的で合理的な判断のように思える。世の中のテックニュースで連日とりあげられるような、初期の段階で大型資金調達できるような事業は、めったにない。そんな夢物語よりも、現実をみて動くことが大切だ。